橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』を見ました。
以前から気になっていた作品でしたし、橋口亮輔の前作『ハッシュ』は僕の中の重要な映画と位置づけられているものでした。
ですので、レンタルショップに久しぶりに行って貸し出しがあるのを見てすぐに見ようと思いました。
特別でない人たちが、特別でないことをする映画が好きです。
この映画はまさにそれでした。
私たち誰にでもあるであろう苦悩を抱え、それでも一生懸命生きている。
時として、苦しみに耐えられないので誰かに寄り添おうと思う。
その寄り添おうと思った人を頼りにし、ずっと一緒にいる。
もちろん人生には波風は立つもの、そして寄り添っている人にも同様に波風はたつ。
ときに心底お互いに支え合い、倒れないようにがんばってみる。
夫婦とはそんな物語りを共有しているのだと思います。
人を好きでいるというのは道具的な価値や快楽の共有という意味がもちろんあると思うのですが、それ以上にただ一緒にいることができるとういうことが最も重要だと思います。
その人自身の存在を認め、物語りを共有し、自分のようにその人のことを思うようになる。
自己自身にとっては他者なのだけれども、境界をもった他者ではなく、自分が外に飛び出ているような存在で、おそらく視線は共有している。
同じように感じ、もちろんそれは確認できないのだけれども、きっと共有は勘違いではないだろうと思えるようになる。
夫婦のそんな姿をこの映画で見て、僕自身の夫婦生活についても改めてそのような視線で見つめ直してみました。
結局のところ何かを共有するという行為や認識が夫婦には必要なのだと思います。
そしてそれが勘違いであっても何となく確信が持てる気がする、それが大切なのだと思います。
結婚する前とした後ではこの映画の感想は違うと思いました。
殺伐とした不安定な時代ですが、結婚っていいなぁと思えました。
堀 寛史

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