村上春樹のことをこころから尊敬するようになったきっかけは『アンダーグラウンド』を読んだことによります。
小説家のことをどこか社会から逸脱した人と捉えていたのですが、それは全く逆で社会に真正面からコミットする、それが真の姿なのだと思いました。
村上春樹の作品は小説であればすべて読みました。
しかし、『約束された場所で―underground 2』の存在を知らずに、たまたま本屋で見つけてすぐに買いました。
この作品は小説ではないのですが、先に述べましたように前作に衝撃を受けたのできちんと読まなければなりません。
ところで、『アンダーグラウンド』は地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめた本です。
そして『約束された場所で―underground 2』はオウム真理教の信者へのインタビューをまとめた本です。
あの事件からやがて15年が経とうとしています。
僕が高校2年の時であり、友人達とオウム真理教についていろいろ話し合ったことを覚えています。
911以降テロリズムを耳にすることは多くなったのですが、それ以前はなかなかテロリズムは僕たちと生活にない言葉でした。
これから社会について少しずつ足を踏み入れようとしていた高校2年生のときに、かなりの衝撃を受け、あのテロリズムはいったい何だったのだろうと真剣に考えさせられました。
ただし、何かしらの回答が出たわけでもなく、マスコミが飽きてくると同様に僕の意識からもそれは薄れていきました。
事件から10年以上が経って、たまたま見つけて読んでみたのが『アンダーグラウンド』でした。
いやに分厚い本だなぁと言う印象しか持たなかったのですが、読んでみて僕の中に「罪と罰」というテーマが生まれてきたのをハッキリと覚えています。
『アンダーグラウンド』を読む前年に、ドストエフスキーの『罪と罰』を半分で断念していました。
しかし、『アンダーグラウンド』を読んですぐに、『罪と罰』を改めて読み直し、重ねて重要なテーマであるという認識をしました。
そのテーマは今でも継続して考えています。
そして、今回、『約束された場所で―underground 2』を読んで、まだ深く掘り下げて考える必要性が立ち現れてきました。
この本の中では「罪と罰」というとらえ方は言葉上ありません。
村上春樹にとっての重要なテーマはは「悪」の問題です。
たまたまなのですが、僕が研究しているポール・リクールのテーマも「悪」です。
すべからく、僕にとっても重要なテーマなのですが、今回の読書で少し何かが見えたような気がします。
「悪」、「罪と罰」これらはきちんとまとめないといけないと思います。
高校生の時に受けた衝撃を現実的には思い出せないのですが、それからの物語りをなんとなく構成できています。
無理矢理なこじつけかもしれませんが、オウムの事件の数々は、今の僕の考えの一つのきっかけになっていると思います。
そんなこんなを思い出しました。

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